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アナンシの血脈
随分おひさしぶりの投稿になってしまいましたが、久しぶりにちょっと楽しい作品に出会えたのでご紹介です。
「アナンシの血脈」ニール ゲイマン 作で、角川書店の上下巻。結構楽しく軽く読めます。が、なにより皆さんにお薦めする理由は、作者がまぎれもない「モンティパイソン」ファンだから。なにせ下巻59ページの最後には、ヒッチコックばり(?)の鳥たちの強襲シーンが描かれているのですが、その描写には「・・・鳥たちは、モンティパイソンの映画に出てくるキラーラビットのようなルビー色の目をして・・・」とあるではありませんか!
そう! 「ホーリーグレイル」の「恐怖の人食いウサギ」なのですから!!
(ちなみにイギリスの幻想文学大賞受賞作だそうです。)モンティほどの切れはありませんが、モンティ映画のオマージュだと思って読むと、もっともっと楽しめて納得しちゃいますよ。

おっと、肝心の中身の紹介がまだでしたね。まあ、これだけで充分かもしれませんがポイントをいくつか。

主人公のファット・チャーリーは世にもツイていない青年ですが、その父親の葬儀の日、近所のオバサンから「お父さんは神様だった」と告げられます。アフリカのクモの神様アナンシの末裔で、神様なのでなんでも喋ったとおりになるという「言霊」が使えたのです。たとえば、お父さんがファットと言ったとたんこの不幸な息子はだれからもファット・チャーリーと呼ばれるようになってしまいました・・・。もちろん他にも奇跡を呼ぶ能力を持っていて、生計はお金がなくなると宝くじを買って、賞金を貰う生活だったようです。
そして、近所のオバサンには、彼に双子の全然似てない兄弟がいたことも教えられます。
どうやったら会えるのか? と聞くと「クモに頼んだら伝えてくれるわよ」と。そしてある日、助けたクモを放すとき、ほんの悪戯心で頼んだら・・・。お父さん譲りのチカラを持った兄弟の出現で巻き起こる大騒動!

主演はグレアム・チャップマン。お兄さんはマイケル・ペリン、お父さんはエリック・アイドル(もちろん近所のオバサン、フィアンセのお母さん役等で多数出演予定)、悪い上司役はジョン・グリースかな?
ご一読の向きはぜひ、キャスティングのご意見をお願いします。
author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 23:38
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イリアムや、ああイリアムや イリアムや
ダン・シモンズ「イリアム」いってみました。
やっぱり熱い!そして厚い! これで前編ですからね。
ただ、「ハイペリオン」の「すさまじきもの」はさすがに無く、読み始めて大いに盛り上がってきた神々の物語への期待は、きっと後編「オリンポス」なのだろうなと、その暴走を自制しました。
やはり、「ハイペリオン」のストレートなまでのパッション(熱情)より、物語世界の見事さに目が行ってしまう分、SFを超えた文学としての凄さは欠ける感が拭えないからです。
といっても、十分以上の読み応えです。ギリシア神話好きの方には特にお薦め。そういえばこれに近いテーストを探すと、結構、萩尾望都版「百億の昼と千億の夜」かもしれませんね。

P.S. その連想で、この前近藤さんから薦められた「カラクリ・オデット」(花ゆめ)は、久々のSFしてる少女マンガでした。なかなかヨイですよ。
author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 11:47
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げんしけん 第8巻
連載が6月に終わって以来、久々に心待ちにしたコミックス発売日。ようやく今日「げんしけん」第8巻をゲット。いやぁ〜〜イイ! 実にイイ!!
ホント、ここ十年をみても、この作品ほど、僕の「トラウマ・スイッチ」に迫ってくる作品はないのです。
実際の若き日との類似点があるかといわれると、それほどでもないのですが、そこに醸し出された「雰囲気」の普遍性に、「トラウマ・スイッチ」全開状態になってしまうのでした。

その意味では、一番愛すべきキャラは、やはり斑目なんだと思います。彼を通して、世界が造形されているわけでもアリ、この居心地のよい世界の造り主でもあるのですから。

ああ、何もかもみな懐かしい・・・。
そして少年はオトナになる・・・。

最終巻12月発売は、ちょっと殺生です。
なんかBBSみたいでスミマセン。でも、ちょっと聞いてもらいたかったもので・・・。

author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 23:02
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ゲド、ゲドリ。ゲドド軍曹であります!
夏休み第一日目。早起きして、一番の「ゲド戦記」、観ました。
う〜〜ん。贅沢な習作でしたね。

「悩み」が一つのテーマであるなら、アニメ造りに「悩む」監督の姿がうまくマッチして、その部分は意外な迫真をもって伝わってきました。
でも、1割カットしても物語には影響がでないであろうテンポは、習作としては、仕方が無いかなという範囲。
「ゲド戦記」というタイトルからくる印象と、大賢人ゲドの人物造形とストーリー構成は、もっと宮崎アニメらしい爽快感があってもよかったはず。(あ、違った宮崎アニメではなかった・・・。ま、いいじゃん、二代目ってことで!)
見ていて思ったのは、ゲドが、「ちょいワルオヤジ」化したカリ城ルパンあたりだったら、拍手喝采だったろうな、と。声は、鈴置さんあたりで・・・。マジメ過ぎたのかも。ゲドド軍曹とまでくだけなくとも、この作品の流れを、もう少しドラマとして盛り上げてくれれば、という「モッタイナイ」感があったのは事実。

パターンといわれようと、習作なんだから、狼に襲われるシーンからはじめては、いかが。「ナウシカ」冒頭nのユパ登場シーンと同じになろうと、やはり宮崎アニメの蓄積は、こうしたどこかで観たシーンの圧倒的存在感でもあるわけで、絵作りは、そうした蓄積に頼ればいいのですから、「物語」にもっと集中してもらいたかったところです。
ストーリーの骨格は悪くはなかったです。集中すべきは、物語に収斂する、キャラクターの魅力作りだったのではないでしょうか。
例えば、ゲドは、もっと大賢人らしく、なんでも知っていて欲しかったですね。できれば、「モノ探しの術」を使っていろいろなコトを見聞するシーンなんかも良いのでは。影にさいなまれるアレンを通じて、もともとのテーマである自分探しや、ゲドの過去も描けます。父殺しのシーンも、もう少し後半の山場で、回想で出した方がよかったのでは。
あと、最後のカタルシスを、テルーに持ってくるなら、やはりテルーの過去や、超常の兆しなどで、もっともっと、盛り上げられるはずです。アレンとの交流も、農作業を描いている暇があるならもっとできるでしょうに・・・。

つーワケで、ゲド、ゲドリ。次回作を期待しちゃおう。
author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 15:51
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Mr.&Mrs.スミスと和田慎二
連休前にDVDで観て、結構気に入ったのが「Mr.&Mrsスミス」。
ブラッド・ピットという男優は、ハリウッド映画の往年の典型的二枚目に通じる、「かっこいいのにぎこちない」というキャラをうまく立ててくれていて贔屓にしています。ちょうどスティーブ・マックィーンやゲーリー・クーパーに薫るような、二枚目系なのに隙がある温かみを持った人物造形をカンジさせてくれ、最近の役者の中では無条件に好きな一人なのです。「セブン」などのシリアスも見事でしたし。一方のアンジェリーナ・ジョリー。僕の中では「トゥーム・レイダー」デンデンのキャラですが、アクションをやるにはまあいいかなということで、軽い気持ちで観たのですが、面白かったです。一昔前のシチュエーション・コメディで、敵対する組織に属する腕利きの殺し屋同士が恋をして結婚して二重生活をしているうちに、夫婦の倦怠期が訪れ、ふとした仕事からその素顔がバレるが・・・というオハナシ。
夫婦の倦怠期とそれでもやっぱり愛し合っているという予定調和をうまく演じてみせた二人の演技は、アクションコメディでありながら、夫婦の愛という、「真なるもの」を垣間見させるだけの「名演」に限りなく近かったと思います。
それだけのいいデキだったいもかかわらず、ストーリーのひねり、詰めが甘く、大傑作には成り損ねたのは残念でした。単なる犯罪組織のはずの二人の組織は映画では、国家機関もかくやというレベルで描かれており、そうであるなら、二人が最後の死闘を乗り越えたから助かったではなく、もう一捻り、スティングばりの気の利いた「助かる理由」を作って欲しかったものです。例えば、両組織のトップ同士が実はつるんでいて、結果、そのヒミツを掴んでしまったとか・・・。

とかなんとか思いながらみていて、どこか懐かしい、郷愁をさそう面白さだなと振り返ってみると、そうです、このタッチはあの和田慎二さんの作品にあった、壮大なシチュエーション・ギャグのノリに近いのだなと思いました。
76年の月刊プリンセスに載った「アラビアン狂詩曲」の十万人の敵による東村山音頭とか、78年の「ラムちゃんの戦争」などの壮大な設定と小さな恋のさやあてとか、昔の少女マンガの良質な楽しさを彷彿としてしまいました。あるいは、河あきらさんの「特ダネや〜い!」なども思い出されます。その面白さに少女マンガにどっぷり浸かり始めるきっかけとなった一作でもあるのですが、物語のごく普通の設定に、ちょっとしたスパイス(ボタンの掛け違い等)を振りかけることで、ストーリー自体が思いもつかない傑作のギャグになってしまうというシチュエーション・ギャグの醍醐味を味あわせてくれた名作でした。

最近デキのいいハリウッド映画に、日本のマンガ・アニメのテイストを感じることが非常に多くなってきました。温故知新。今回の「Mr.&Mrsスミス」も、その面白さから、過去のハリウッド映画ではなく、日本の過去の名作マンガを連想できたので、改めてマンガ・アニメ文化の成熟に今昔の感を強くした次第でした。

ともかく、楽しい映画でした。ご夫婦でどうぞ!
author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 02:17
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