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Mr.&Mrs.スミスと和田慎二
連休前にDVDで観て、結構気に入ったのが「Mr.&Mrsスミス」。
ブラッド・ピットという男優は、ハリウッド映画の往年の典型的二枚目に通じる、「かっこいいのにぎこちない」というキャラをうまく立ててくれていて贔屓にしています。ちょうどスティーブ・マックィーンやゲーリー・クーパーに薫るような、二枚目系なのに隙がある温かみを持った人物造形をカンジさせてくれ、最近の役者の中では無条件に好きな一人なのです。「セブン」などのシリアスも見事でしたし。一方のアンジェリーナ・ジョリー。僕の中では「トゥーム・レイダー」デンデンのキャラですが、アクションをやるにはまあいいかなということで、軽い気持ちで観たのですが、面白かったです。一昔前のシチュエーション・コメディで、敵対する組織に属する腕利きの殺し屋同士が恋をして結婚して二重生活をしているうちに、夫婦の倦怠期が訪れ、ふとした仕事からその素顔がバレるが・・・というオハナシ。
夫婦の倦怠期とそれでもやっぱり愛し合っているという予定調和をうまく演じてみせた二人の演技は、アクションコメディでありながら、夫婦の愛という、「真なるもの」を垣間見させるだけの「名演」に限りなく近かったと思います。
それだけのいいデキだったいもかかわらず、ストーリーのひねり、詰めが甘く、大傑作には成り損ねたのは残念でした。単なる犯罪組織のはずの二人の組織は映画では、国家機関もかくやというレベルで描かれており、そうであるなら、二人が最後の死闘を乗り越えたから助かったではなく、もう一捻り、スティングばりの気の利いた「助かる理由」を作って欲しかったものです。例えば、両組織のトップ同士が実はつるんでいて、結果、そのヒミツを掴んでしまったとか・・・。

とかなんとか思いながらみていて、どこか懐かしい、郷愁をさそう面白さだなと振り返ってみると、そうです、このタッチはあの和田慎二さんの作品にあった、壮大なシチュエーション・ギャグのノリに近いのだなと思いました。
76年の月刊プリンセスに載った「アラビアン狂詩曲」の十万人の敵による東村山音頭とか、78年の「ラムちゃんの戦争」などの壮大な設定と小さな恋のさやあてとか、昔の少女マンガの良質な楽しさを彷彿としてしまいました。あるいは、河あきらさんの「特ダネや〜い!」なども思い出されます。その面白さに少女マンガにどっぷり浸かり始めるきっかけとなった一作でもあるのですが、物語のごく普通の設定に、ちょっとしたスパイス(ボタンの掛け違い等)を振りかけることで、ストーリー自体が思いもつかない傑作のギャグになってしまうというシチュエーション・ギャグの醍醐味を味あわせてくれた名作でした。

最近デキのいいハリウッド映画に、日本のマンガ・アニメのテイストを感じることが非常に多くなってきました。温故知新。今回の「Mr.&Mrsスミス」も、その面白さから、過去のハリウッド映画ではなく、日本の過去の名作マンガを連想できたので、改めてマンガ・アニメ文化の成熟に今昔の感を強くした次第でした。

ともかく、楽しい映画でした。ご夫婦でどうぞ!
author:南田操, category:映画/本/漫画語り, 02:17
comments(2), -
Comment
もう一ひねりの黄金パターンがあったぁ!
「敵同志のトップが実はつるんでいてそのヒミツを掴んでしまった」と書きましたが、僕ならこうしましょう。「敵同士のトップは、実は夫婦で、スミス夫妻を後継者とするために実は試練を与えていたのだ・・・・と」
南田操, 2006/07/12 11:27 PM
それだったら私も見たいです〜(笑)。いいな、それ。
「過激になりすぎなければ対立の構図のままにしておいた方がものごとうまく回ることもある」という法則にのっとり、選ばれた夫婦が脈々とその役目を担っていくんですね。職場(?)では「おのれ○○○(相手の組織名)め!」とかやってますが、家に帰ると「ダーリン、今日こんなことがあったのよ〜」って、お互い作戦がバレバレになり大事に至らないという……。なんて楽しい話なんだ……って勝手に作るな(笑)
かおる, 2006/07/13 7:32 AM